エネルギー論を満たす確率的オーダーパラメータダイナミクスを解析して、熱伝導下相共存の解析をする論文を執筆中である。発展方程式にオリジナリティーを主張する気はなく、「オンサーガ理論による」の一言でもいいのだが、論文では、そのモデルについて紹介する必要がある。実際、Hohenberg-Halperin のレビューでモデルの分類があり、それをよく知っている人は、それとの関連を聞きたくなる。ドレスデンの講演でも、そういう質問があった。記憶をたどって、エネルギー論がないので、潜熱の発生およびその拡散はモデルB, C, H でも記述できない、と答えた。 

 今日確認すると、確かに、その答えは間違ってなかった。しかしながら、おどろくべきことに、なんと原論文Halperin-Hohenberg-Ma のモデルC は、レビューのモデルCと違って、非保存オーダーパラメータとエネルギーの結合方程式で、エントロピー汎関数にもとづく時間発展のことだった。(オンサーガそのものだから、彼らもそこにオリジナリティーを主張しているわけではない。)

 あらら。運動量自由度がないこと(=これはゆらぎを考えるときに致命的)、界面エネルギーのエネルギー項を忘れている(=大きな効果はないことを今は確認している)、エントロピー汎関数の形を臨界点近くにしぼっている、、ということを除いて、解析しているモデルと本質的に同じである。

 ドレスデンの質問の答えは、「Halperin-Hohenberg のレビューのモデルCではないが、Halperin-Hoenberg-Ma のモデルC と同じクラスだと考えてよい。ただし、1次転移を考えているので、エントロピー汎関数の形は異なる。また、熱伝導下相共存状態におけるゆらぎの効果をみているのが異なる。」であるべきだった。