土曜日

さらに2週間とんだ。この4週間は、記憶があまりない。。膨大な仕事があって、あいた時間に研究もどきをしていたが、ちっとも進まないし、論文等は全て宙ぶらりんになっていた。

それでも、共同研究者たちから色々なノートが送られてきて、再スタートに向けて準備が整ってきた。まず、3ヵ月以上懸案になっている、熱伝導気液転移の非平衡統計力学からの理解の話。どうしても、「最後の仮定」をはずせない。それを入れれば、現象論を支持する結果になるし、その「仮定」はもっともらしいのだが、ミクロで記述している以上、例えば、数値実験で検証されるのだから、yes or no があるはず。何とかして、その「仮定」を導こうとあれやこれやとやってきて、例えば、その「仮定」を「別の仮定」から導くとか、、はあるのだが、どうも明晰になあらない。

で、僕がまともに考えられていないときに送られてきていた中川さんのノートをみると、何やら大きな進展をしている。中川さんは一貫して現象論としての熱力学の体系の整備をしていて、特に、これまでの議論で後回しにしていた非平衡度を変えたときの振る舞いを整理していた。勿論、非平衡統計とも関係することがあるので、いくつかの論点は共有して、時々議論はしていた。しかし、僕が全く抑えていなかった方向から、変分原理の新しい特徴づけができていた。

これが素晴らしいので、急きょ細かい点まで検討し、少し修正が必要だけど、大きな方針は正しいというところまで納得した。それなら、、と、その方針を非平衡統計の方向に持ち込んで再定式化すると・・、おぉ、こっちでもその機構が綺麗に働くじゃないか。何てこった。膨大な時間をかけてのたうってきたが、これまで気が付かなかった。非平衡統計全体の見直しが必要なので、それは来週にきちんとノートを書くとして、鍵となるアイデアの部分はいけている気がする。そうすると、これまでの「仮定」は定理になる。まるで違う方向から、こんなことが示せるとは・・。そして、昨年末のPRL論文で提案した変分原理が非平衡統計から導出されたことになる。

何度もできた、と思って、論旨に穴があったり、別の仮定を使ったりしていたので、今の時点でできたとは思っていないが、ともかく気分はいい。非常に鬱屈した気分になっていたのが晴れた感じになった。これが午前まで。

午後からは、論文の赤入れに。色々と溜め込んでしまった諸々を一気に取り返していく。(共同研究者の皆さん、少しお待ちを。順番にエンジンをかけていきます。。)