木曜日

ランダムグラフ。今手許においている論文では、「頂点の数 n, 辺の数 m のランダムグラフを一様に与えたとせよ;m/n=r を固定してn を大きくする極限において、k-core (各頂点からでる辺の数が少なくともk以上ある最大部分グラフ)があらわれる最小の r は?」という問題の答えを与えている。組み合わせ論なので、みる限り難しそうだし、この問題だけをみると、何の関係があるのかわからないかもしれない。

ところで、この解法が面白い。この論文では、「ランダムグラフの確率過程」を定義し、そこから少数自由度のマルコフ確率過程をひっぱってきて、それを解析しているのだ。上記転移点近くで、この少数自由度の確率過程が、Iwata-Sasa に関係しないのか? というのがジュリオの示唆だった。(昨年の9月。)

ときをさかのぼること4月。ベーテ格子上のkinetic contraint model の解析の話を岩田さん、田崎さんとしているとき、田崎さんが白板に書いた漸化式は、saddle-node 分岐をしていた。この漸化式は「時間発展そのもの」ではないが、何かの関連を示唆しているようだった。

ランダムグラフはベーテ格子の親戚である。kinetic constraint model の動力学の骨の部分が k-core percolation にあることは4−5月に学んでいた。だから、ジュリオの示唆を聞いたとき、関係してもおかしくない、、と思ったが、最近までおいていた。

具体的にみると、論文で考えているランダムグラフの確率過程は、「物理のセンス」からすると不自然で、マイナーチェンジした方がいいことはわかった。そのマイナーチェンジした確率過程は、物理的な問題として記述されるし、数値的にみると、その転移点でみなれたタイプの (jamming 転移的な)ergodicity breaking を示している。(論文のままだと、タイプが違ってしまう。)

そうすると、核心は、その転移を記述する少数自由度確率過程のタイプの同定である。まだ消化していないが、予想では、4変数の乗法ノイズLangevin になるはず。論文をカンニングしながら、それをだせばいい。(論文の内容を消化したらできるはずだが、簡単ではない。)

以上まで理解して、おおざっぱにその方程式を推測して、転移のタイプについて考える。うーむ。saddle が関わるのは100パーセント間違いないが、今日のイメージでは、saddle-node でない気がする。ま、推測は推測だけど、僕たちにとっては、saddle-node かどうかで結構違う。もし、saddle-node なら、この問題が僕たちにとっての雛形になりうるから。どうなりますやら。。