木曜日

9回裏からの再度の逆転かな。今度こそ最終版に向かうと思う。

僕たちはβ領域の考察を後回しにしていた。そのため最後の最後で歪がでてしまっていた。特に、β領域の諸々を徹底的にあらうと、α時間の発散の振幅も出すことができることがわかってしまった。何度も不安になって、色々な角度からチェックしてきたが、そんなことはないと主張してきたのが間違いだったのが確実になったのは昨日である。勿論、α領域に拠点をもった僕たちの式もあっているが、β領域の考察だけでも出せるなら意義が半減したように見えた。(ただし、その式そのものは知られていない(はず)。)

そこで、初心に返って、位置づけの整理からはじめたのが昨日の後半だった。ともかく、系統的な摂動を組めるのは僕たちの利点であるのは違いない。しかし、それしかないなら、ただでさえ渋い話が、超ウルトラ渋い話になってしまう。そもそもβ領域の考察だけでも出せることがわかったのは、僕たちの視点での整理があった故であって、自明なことではない。そうなら、その「僕たちの視点」そして「系統的に摂動が組める技術」をさらに徹底しよう。そして、その結果として、β領域のスケーリング関数をもっと綺麗にだそう。(昨日までは、かなり変態的な微分方程式の解を強引に数値的に解いていて、はずしたい論点のひとつだった。)

昨日のうたた寝のあとに方針は固まった。臨界点での緩和の特異的な変形を記述するθと長時間の緩和を記述するAを明示的に含んだ解の表現から入る。(これは今までと同じで、僕たちの定式化の根幹をなす。two-order parameter 記述である。)変数θをβ領域全体で決めようとするからβ領域の諸々とかぶってしまって焦点がぼけて混乱していた。β領域の後半は、α領域の前半とかぶっていて、α全域での記述は未定パラメータを除いてAでかける。そうなら、βの前半だけでθが決めれるのでないか...。先週末の岩田さんの案を修正したβでのshort time expansion を構築できるのでないか。この方針でθが決まれば、全体の筋が無茶綺麗になる。議論はいつでもβ単独での考察にマップできることはもう承知しているが、わざわざそんなことをする必然性がないストーリーになるだろう。ただし、数学的には見えきらず、ここで考えているshort time expansion が有効なのかどうか全くわからなかった。

で、今日計算してみた。short time expansion によるθの決定はビンゴで、たった3項しか計算していないが、スケーリング関数は既によく一致しているように見える。α緩和時間の発散の指数の因子も二桁の精度で一致している。short time expansion なので、長時間の振る舞いまで正しい理由は簡単ではない、というか理解していない。技巧の極みだが、θ以外の変数に対してshort time expansion を考えてもすぐに適用限界が破綻するようだ。これは摂動論ではよくあることで、いい変数を選べば、いい摂動が組める、、ということのまったくおそろしく非自明な例である。(例えば、ゲッツさんのreview にあるような 素朴なshort time expansion では本当にごくごく短時間しかわからない。)

ともかくこれで本当に話は終わりそうだ。証明は途方もないのでできないが、正しい漸近展開の考え方とその主要項の表示はほぼ完成のはずだ。今まで何度もそう思って、穴があったり、間違いがあったりしていたので、全くあてにならないが、少なくとも今日のところはそうだ。