水曜日

日常がはじまってしまって、教科書を書く時間もなくなってしまった。やばい。(この3日でたくさんの文書を書いて発送した。)

それでも、月曜日の夜に、土曜日のさがわさんの計算方法をほぼ完全に理解した。例えば、具体的な計算では、母関数経由でない別の自然な表現があらられる。「これは、かって、スポーンさんが形式的に書いたのと質的に同じだなぁ。」とぶつぶついっておくと、火曜日の午後に田崎さんがスポーンさんの話の解読版ノートを送ってくれた。それもまだ形式的な部分が残っているけれど、それをwell-defined な形に治すと、月曜日の夜に理解した表現と一致することも分かった。これで、動力学を素直におっかけて過剰熱を計算する流儀とさがわさんの母関数を経由する流儀が完全につながった。これは、もちろん、一致して当然なので、当然のことを復元できただけ。

さて、ここからが非自明なことである。ある量について、それを求める色々な等価な公式がある。そのとき、ある公式では中々計算できないが、別の量だと明示的に計算できたりする。このようなことは、様々な例で経験している。つまり、問題は、準静的過剰エントロピー生成を計算する際に、素直におっかける式ではなく、母関数経由の式がどれくらい使えるかである。僕が、さがわさんの結果に反応したのは、そこに出てくる「左固有ベクトル」が、Nemoto-Sasa では、optimal potential として、操作的に特徴づけられているからである。だから、動力学の積分(つまり、グリーン関数(=逆演算子)経由)でなく、optimal potential を最大限生かす方法で、準静的過剰エントロピーを計算できれば、凄く面白いことになる。Nemoto-Sasa公式では、動力学をおっかける代わりに、「変形された系」を考えて、その変形をあれこれ動かしてoptimal を探すことで、時間平均量のキュムラト母関数が分かってしまうのである。[マスター方程式で書ける系なら、そのような主張が一般的にできる。もうすぐ公開の論文の付録でそこまで言及している。]

しかし、残念ながら、そのoptimal potential を具体的に計算する際には、微分方程式を解くことに帰着させている。解析力学をつくったけれど、結局、計算するときには、運動方程式解くのと同じだから、解析力学意味ないね〜、というのと似ている。(解き方はちょっと違うんだけど、まぁ、質的に同じ、というこころまで同じ。)だから、すぐには次にはいけない。今日もまだその準備段階で混乱していたことがあったので、それについて時間をつかった。

さて、どうなんでしょう。何かがあるんだろうか。こういう大き目の地図の可能性をあれこれ模索するのは楽しい。(しかし、そうそう、うまい話はない。)あと2,3日は考えるつもりでいる。