日曜日

数理科学原稿:依頼は、「面白い発想」というお題で熱力学から何か書け。

20度と40度の理想気体が同じ量だけ同じ体積の箱に入っている。くっつけると30度で体積と物質量が倍の気体になる。これを元に戻すことはできない。でも、力学操作をうまく組み合わせて29.835度で体積と物質量が倍の気体をつくった場合には、元の20度と40度に戻せる!そんな操作をどうやって実現するのだろうか?という問題から入る。(次いで、記事の動機や(U,V)指定の熱力学設定を概説したあと)エントロピーを「(全体系に対して)可逆過程で一定値をとる示量変数」と(再)定義する。この定義が実質的に一意にエントロピーを決めることを理想気体で説明する。エントロピー密度が断熱不変量 x=U^{3/2}V/N^{5/2} の関数f(x)になるまでは平凡な議論だが、29.835度の例題に踏み込むと、正の実数x, y に対して、f(x)+f(y)=2f((xy)^{1/2})を満たすことが分かる。これを解くと、皆が知っている理想気体エントロピーの形がちゃんと求まる。[今日はここまでラフスケッチを書いた。]こういう話は知っている人は知っているけれど、おそらく9割9分の学生は知らないだろうから、短い記事に残しておきたい、と前から思っていた。理想気体エントロピーをこういう風に導出できるって面白いでしょ?エントロピーの考え方にしろ、29.835度の構成方法にしろ、「面白い発想」というお題に合っていると思うけどなぁ、、どうかなぁ。

後、最後の1ページちょいくらいで、Lieb-Yngvasonにもっていくのがプランだけど、ちょっと煮詰まったので今日はやめ。(上の例は、Lieb-Yngvasonによるエントロピー定義の理想気体によるデモになっている。)