水曜日

各種事務関係。とくに、駒場の予算消化計画をたてる。(もちろん僕自身の研究には使わない。「計算機の移動」と「院生の出張経費」と「研究室運営雑費分」である。)駒場は研究室レベルでは単年度決算ではないので、柔軟な対応ができるようになっている。(事務の方の努力のおかげである。他にも色々と「研究者にとってよい環境になるように配慮していただいていた」ことを移動してよく分かった。)しかし、今回は完全に閉じるので、赤字にならず、少し黒字くらいで終わりたいものだ。

伊丹論文の検討。"singular non-equilibrium transport" という仮題をたててみる。熱力学的には中立だが、ミクロ/マクロのスケール分離を摂動として運動が生じる。つまり、中立状態に摂動が入るので特異摂動になっているともいえる。題名はその特徴を反映させている。関本さんたちの現象論はその特異摂動問題を「発見論的に」解いているようなもので、なぜそう考えないといけないのかが中々見えない。今回の論文はミクロから一本道ですすんでおり、理路整然とした解法になっていると思う。もちろん、モダンな武器(ゆらぎの定理)がなければこの問題を攻略するのは無理だったろう。(希薄気体に限定すると、非常に簡単な計算で運動論による(膨大な計算を経た)結果を定量的に再現する、というのは運動論マニアにもインパクトを与えるかな。)論文になると式はほとんど消えてしまうのだが、伊丹君の膨大な計算の結果として、そういう構造が見えてきたのであって、研究する前に予想があったわけではない。[ただ、あと一歩いけそうな気がするんだけどなぁ。]