火曜日

東大本郷:とある設定のもとでcmオーダーの金塊に温度勾配をかけると40cm/s で走る、という伊丹君の発見について、何がおかしいのか、あるいは、おかしくないのか、について議論していただく。色々な話を経て、きわめて重要な論点をいくつか理解した。(特に、竹内さんの本質的コメントと中山さんのシャープで詳細なコメント群についてはすぐに検討して理解せねばならない。)

設定を式で書いたあとの解析は間違っていないと確信しているが、その設定下の振る舞いの現実的なロバストネスの検討が問題である。(理論があればいつも実験で見えるわけではない。実験でみえるためには、理論的なことを考えるにあたって想定した理想的極限にゴミが加わったとき、ゴミを小さくできて、かつ、そのゴミの添加に対して安定でなければならない。)僕たちもそういう点について議論してきたが、議論の貧弱感を自覚していた。そこで時間をとっていただいて、あれこれ話をすることを企画したのだった。僕自身のスケジュールからすると出張を入れるのはきつかったのだが、学問的にはいくのが大正解だった。

また、伊丹君の説明の仕方を見ていると、1年前とはけた違いの進歩を感じる。白板に向かって、何も見ずに、要点を簡潔かつ十分に説明するのは、簡単そうに見えて難度が高い。この問題だと今の僕にはできない。皮膚にしみこませて理解する、というのをクリアーしている。説明を聞きながら、ほくそえんでいた。