水曜日

生産研にWalter Kob 氏のセミナーを聞きにいく。なるほど、面白くて非自明な結果をもってきている。[confined super-cooled liquids の表面効果だが、データをうまく処理して、おそらくバルクにも埋まっているだろう重要そうな量をもってきていた。]セミナーにいった目的のひとつは、彼に僕たちの最近の話を聞いてもらうことだったが、あいにく、セミナー終了後すぐに分子研に向かうとのことだった。渋谷駅まで岩田さんに送ってもらうことにして、その間にできる限りの議論をしてくるように、と岩田さんを送り出した。僕が「ほう」と思うコメントを貰えるくらいの議論を短時間でできたのだから、成功だったのだろう。

僕は、ひきつづきあったHansen 氏のセミナーにでていた。(休み時間に話をしてしまった成り行き上、離れるわけにいかなくなった。)Theory of simple liquids の著者であることを紹介のときにしって、休み時間に「実験家ですか?」とかお馬鹿なことを聞いていたので赤面してしまった。しかし、セミナーはほぼ自明な理論、(現実に対応するために)複雑にした理論、数値実験からなっており、液体論の暗さを反映しているように感じた。もちろん、その理論と数値実験の結果が定量的にもまずまず一致するの物理として不思議で、そこに何か面白い理屈があれば楽しいのだが。

さて、10年以上まえに、小松さんと乾燥破壊における割れ目間隔の2/3乗則というマイナーな法則を予言していた。しかし、中原さんの実験では線形則になってしまったし、狐崎さんの詳細な解析だと通常の場合では線形則で2/3則があらわれるのは稀、という結論だったように記憶している。最近では、「間違った予言をしてしまった」例として、院生に喋っていた。ところが、今日みた論文では、2/3乗則が見えている。(ちゃんとKomatsu-Sasa を引用してくれている。)これは何だろう。。ちょっと検討してみよう。