日曜日

千葉学会論文。金曜日にver.-1を宣言したのは無理があった。今日の手入れでver. -1 くらいか。。このversion のふりかたがどれくらい標準的なものか知らない。僕は、だいたい構成案が固まって、文や言葉の表現に以降する境界をver.0 としている。ここまでくれば、ver. 1, ver. 2 と着実に進化していくが、version 番号がマイナスのときは、かなり大幅に構成をいれかえたりしている。

あちこち抜けている説明をいれて、ペンディングにしていた最後の段落をいれる。large deviation function と熱力学関数の関係についてのEinsten 理論を出発点にして、論文を構成しているのだから、large deviation function を計算したあとに、非平衡定常系での熱力学関数について一言書いて終わるのがいいだろう。。むむ。色々考えていると、昔、似たことを考えていたことを思い出したが、何を考えていたのか思い出せない。

計算機の中をさがして、"A new fluctuation response relation in the simple exclusion process with nonequilibrium boundary" という題名の英文ノートを発掘した。日付は、03/07/01 で、著者は、Hayashi and Sasa。おぉ、これだな。ふむふむ... さっぱりわからん。何でこんなことを考えていたのだろう。で、自分の公開日記を読むと、大体、思い出してきた。

このノートは、Chris に送った私信である。東北学会で林さんが発表した内容の最終版がこのノートに集約されているのだが、論文になっていない。実は、数値実験では、極めて示唆的で面白そうな関係を(林さんが)偶然に見つけたのだが、ちゃんと数値的に検討すると4桁目くらいで成り立たないし、田崎さんとの議論でその関係式が厳密でないこともわかってしまった(らしい)。[しかし、結果として間違っているとはいえ、得たいの知れない不気味さを感じるノートだ。]7月上旬にボツにしたあと、めげる間もなく、すぐに結果として有効温度の話につながる展開に切り替えたのだった。

03年のその頃の記述をみると懐かしいというか、結構、驚く。例えば、東北学会についての感想は、以下のようになっている。まるで、現時点で捏造したかのようだ。ここから、Harada-Sasa, Otsuki-Sasa につながっていくのだな。。

3/28(金)-3/31(月)

学会。印象にのこったものをいくつかメモしておく。

原田君のlaser trap をつかったBrownian motor の実験:非平衡定常系をつくったあとで、(定常系をつくるのとは)別の外場をかけてその応答をみて、揺らぎとの関係を探索しようとする。平衡(近傍)ならEinstein関係式としてしられているものの定常系version。 非平衡系で動いたとか模様ができたとか分離したとかでなく、未知の関係式(法則)を探索しようとする動機は、僕と共通するものでもあり、かつ、そういう動機に根ざした実験的研究が若手からはじまっていることに感銘をうけた。もちろん、生易しいものでなく、現時点では定性的なものにとどまっているが、その路線の実験を積極的に生かす道をかんがえはじめる。

宮崎さんの 過冷却液体のfluctuating hydrodynamics + 非平衡条件 + MCT: 軟らかくいえば、ガラス化にともなう降伏応力発生の理論である。(宮崎さんは慎重なので、そこまではいいきっていない。) ガラス化にともなう降伏応力の発生には興味をもっていたが、それを愚直にせめれる数少ない道 (が、うまくいかなかったらつまらない計算だけが残る危険性がある道)だと思っていた方針をすすめることによって、その結果に到達していた。MCT を使う時点でどうしても計算の海にはいってしまうが、彼の成功は、それをもっと簡単に議論できる可能性を示していると思う。