月曜日

focus meeting がはじまった。僕が参加しているのは、ポアンカレー研究所での非平衡統計の3ヶ月プログラムのうちの一ヶ月目。長い人は3ヶ月いるひともいるけれど、スタッフレベルだと、世話人をのぞけば、最長でも1ヶ月だから僕は最長の部類になる。focus meeting は3回あって、今週が第一回目。そういうわけなので、普通の研究会とちがって、セミナーがずっとあるような感じである。聴衆も発表者のほかは滞在の参加者が主である。

Denis Evans の講演から。前に談話したことの拡張版で1983年からの話をしていた。そのあとは、散逸関数の恒等式(寺本さんが2,3年前に文献紹介してくれた内容)。前半は歴史と思って聞いていたので、楽しんでいたが、後半はまじめに聞いてなかった。何かをしていたわけではないけれど、ぼーとしていたのかもしれないし、うたた寝をしていたのかもしれない(水曜日に書いているので記憶があやふや)。と、突然、どういう脈略なのか全くわからかったけれど、「熱力学を定常状態に拡張しようとする研究があるが、それはどうなのか?」という質問を朗朗とする老紳士がいた。Evans は、また何をおもったか、そのような研究が実に意味がない、、という主張を展開していた。[しかし、僕は知っているのだよ、たしか1980年ごろにEvans も熱力学拡張の論文を書いていたことを。自分が試行したから余計に反応しているのだろう。]たしかに、 正しいことをたくさんいっていたのだけど、論理的に間違っていたのは、「だから、拡張する理論がない」との帰結。この手の話は、山のように経験してきたので、1ヶ月前なら僕は反応すらしなかっただろうけど、乾杯!したばかりなのでだまってはおれない。(講演の趣旨からは脱線した話題なのでその場では何もいわず、休み時間に話にいく。

まず、Evans に「ミクロから熱力学拡張ができることを示した。水曜日にもその話をふれるので聞いてほしい。」と伝えた。ついで、老紳士を探す。名簿をみて、Sengers に違いないとは思っていたけれど、つかまえて挨拶をする。やっぱり、Sengers だ。(Green , Sengers で65年に臨界現象の国際会議をひらいている.. といえば、どんな感じがわかるだろうか。)僕は、長距離相関の実験データで知っていた。熱力学拡張に関して最近進展があったことをいってもっと明示的にいおうとしたら、「興奮するな...」と軽くたしなめられて、水曜日の講演で聞くわ。。と、いなされてしまった。で、昼休み、別の人と話している途中に、声をかけてきてくれて、「最近、どんな話になっているのか、論文をおくってくれ」... と。いや、それなら、、まず... と、SST 論文の別ずりを渡す。「熱伝導以外の系でずり系とかも簡単だからいいよ..」とコメントしてくれるので、適当に返事をしていたけれど、、ちょいまてぃ.. 誰が熱伝導って言った??(たしかに、水曜日には熱伝導で喋るけれど)、まだ説明してませんがな。 Sasa の名前で熱力学拡張というので、何かを思い出したに違いない。

(推測:実験家が Sasa-Tasaki のあのpreprint を読むはずがない。PRL に投稿して、DAE にいって、DAE では署名入りで返事がくる。その中に自分の知人にも意見を求めた、、と書いてあった。sengers はそのDAE とバリバリの知人である。そうか、きっとあの論文を読んで意見をいう機会があったのだな...。long range correlation へのトラップが生じてしまったわけもよくわかる。) 違うかもしれないけれど、そう思いこんだ。

今の案では最後にちょっとしたつけたしにしかならないので説得力がまるでない。せめて明示的に命題を書かないといけない。問題もはっきりさせておくべきだ。証明はどの程度まで踏み込もうか...。そもそもスライドつくれるか?... で、決断した。やる。最後の講演をスキップして買い物をして部屋にかえる。とにかく基礎となるスライドをつくりはじめる。構成案を考えると、Sasa-Tasaki の紹介は完全撤去するしかない。前半部分も並列感をなくして、すべてが最後にもっていく感じにした方がいい。時間との戦いだが、ともかくやる。多分、土曜日にもそうしたかったのだろうけど、「抑えて、抑えて」とブレーキをかけていたのだろう。そのせいで集中力にもかけていた。土壇場で変更して、ぎりぎりかもしれないし、失敗するかもしれないけれど、「流れ」がそうなっている。