土曜日

朝、よく眠ったせいか、気分がよかったので、ノートをさっと書いて関係者に送る。田崎さんの「危ないかも」に対する応答であり、パリで喋ったことが間違いではないことの再確認でもある。

その勢いで、線形応答50周年記念会議での発表(11月5日)の構成案をつくる。夏休みの予定では、パリ講演から詳細をぬいて半分にするつもりで、講演タイトルも同じにしてあった。パリ講演も土壇場で構成をかえたし、30分にあわせるために構成をちゃんと考えなおした方がいいだろう。5時の鐘とともに、構成案終了。あとはボチボチと手をいれていく。

さて...と。しかし、わからない。平衡系の液体・気体では、(3重点を除いて)、(T,V,N)で状態を指定できる。物質の種類をしたあとの物性値はそれらの関数としてきまり、物質がおかれいる環境には依存しない。ところで、熱伝導系の場合には、そういう性質自体がありえない。たとえば、温度Tの熱源と接している、というだけでは、条件がたらなくて、接触の諸々の条件によって状態が違うことがわかっている。今回の SST の温度は、片方の熱浴の温度をそのまま使う。(その温度は平衡の概念なのでちゃんと定義されている。)もう片方の熱浴については、「少しうるさい条件」を課していて、そのためにSST が成立するのであるが、こちらの熱浴についてはおおらかなままである。たとえば、温度ギャップの程度に関係なく熱力学関係式が成り立ってしまう。

「うるさい条件」の方については、あれこれ頭をつかってきたが、もっと不思議なのは、うるさくない熱浴に関する鈍感さでないのだろうか。圧力の異方性に対応できることはすでに納得していたので、Evans さんの質問にも即答できたが、ここをつかれたら明晰に答えれなかっただろうな。今のところ、論旨に間違いはみつかっていないので、やはり、信じがたい何かが埋まっている.. ということか。