土曜日

大久保さんと板倉さんにノートを送ってちょうど1週間になる。自分の勘違いの可能性のチェックになれば..という目的をクリアーした上で、もはやそのノートを完全に超えて、新たな地平に向かいつつある。ある種の問題では、僕がもっとも不見識なので、急速に勉強しないといけないし、その動機もでてきた。(が、時間がないので学会中での宿題にするか、、と困ったときの「学会中の宿題」にどんどん回している。)何かのプロジェクトを掲げて共同研究をしているわけではないし、ましてや、予算的つながりなど一切ない。あるのは単純素朴な学問的好奇心だけだ。そこから真に新しいことがでてくるかどうかはまだ分からないけれど、学問的な発展というのはそういうもんだと思っている。(原田さんとのやりとりや田崎さんとのやりとりもそうだった。)

ランダムグラフのk-core percolation dynamicsも明日中に岩田さんのノートのチェックが無事に終われば、ジュリオに連絡をとろう。彼に送るノートを仕上げるのには一ヶ月くらいかかるとしても、対話をゆっくりはじめていこう。これもプロジェクトありきではじまったのではない。確かに、k-core percolation は、僕たちはジュリオたちの論文経由で知った。鹿児島学会後の次の課題として、岩田さんが選んできたのが、KCM 関係だった。この段階で何かが見えていたわけでない。そもそも僕が提案したわけでもない。KCM の field theoretical formulation をすれば何かのつながりはみえるかもしれないし、最低限勉強にはなる..と思ったのでやってもいいかもしれないと思った程度である。

Aizenman-Lebowitz の古典やTBF によるknight モデルを田崎さんから講義を受けてだんだん馴染んできたのは4,5月だった。もう数年前のように思うけれど。いくつかの偶然が重なって、9月24日にサクレーでジュリオと話をすることになった。そのときの濃縮した会談で得た諸々は半端ないのだが、まさか「鹿児島学会での話とk-core percolationがすぐそばにいる」なんて思ってもなかった。彼のその極めて具体的な指摘が完璧に正しかったことが確認できたので、ノートをおくろう..という段階である。この時点では、僕たちには意義が大きいものの、学問的にはマニア的だし、ジュリオも真に強く興味を持つとは思えない。しかし、それからはじまる諸々の可能性を僕は楽しいと思えるので、そこをにらみながらゆっくりとはじめるわけだ。何がでてくるか、どう展開するか全くわからない。だからこそ面白いじゃないか。