日曜日

MCT論文。もう理解レベルでこけていることはないはずなので、早くversion 0 にもっていきたい。しかし、細かいところの議論が色々抜けている。そのうちのひとつをやっとやっつけた。あと3つくらい抜けている部分があるけれど、それとは並行して論文草稿に手をいれていこう。この3日で何とか形をつくる予定だったが、そうスムーズにはいかない。

結局、全体の論旨の組み立ては、11月時点までに描いていた案に戻した。自分たちにとってもっとも素直な道だったわけだし、今その線で眺めるとやはり悪くない。「ともかく摂動計算しよう」、、、というのりで虚心にすすめていくのはひとつ王道には違いない。下手に理解が深まってβ領域のスケーリングがこうなって、、とかやると、かえって論旨が複雑になってしまうことを全体が見えてやっと理解した。

全体像が見えたのは先週の水曜日である。しかし、7月下旬の計算方針は正しかった。もちろん、具体的な計算ではトラブルだらけで、初期の素朴な計算のもっとも不思議な部分の対処法がわかったのは8月中旬だった。この対処法はやけくそだった。白板で岩田さんの計算を見てもおかしなことばかりで、何のこっちゃと混迷していた。ともかく具体的な計算が可能になるように先にすすめる案としてΘ関数というのを定義して計算を進めることにした。それでも具体的な計算は大変で、岩田さんの最初の計算手続きは、僕には理解できないものだった。僕も独立に計算しようとしたが、すぐに計算できるものでないことはすぐにわかった。ともかく、岩田さんの計算の論旨を明瞭化するように次々と無理難題を出して、だんだんと計算がクリアーになってきた。11月中旬に岩田さんの計算の大枠がクリアーになったので、それにもとづいて再度論旨を考え始めた。そこで再び混乱がはじまって、年を越してしまったけれど、結局、大筋は夏の案で正しく、細部は想像してなかったことばかり、、という感じだった。

特に、やけくそでいれたΘ関数が極めて大事な量とは思いもしなかった。それを正しく計算すれば正しい時定数がでるし、それを近似的に与えれば時定数の近似値がでるし、それをいれなかったらそもそも摂動展開がおかしくなる。(ゲッツさん他のレビューにはそれに相当する概念と量はないように見える。)かりに僕たちの流儀でなく、ゲッツさん以来のβ領域を大事にするアプローチをとったとしてもΘ関数を入れないとまともな話はできない。

ここまできて落とすわけにいかない。超マニアックだけれど、詳細における技術の高さと独創的な構図がうまくマッチしたよい作品になりつつあると個人的には思う。当初の目論見どおり、J. Phys. A のFTC セクションに投稿したいものだ。