火曜日

非平衡とガラス。古くからガラス系と非平衡の話には接点があった。例えば、中川鶴太郎氏のレオロジーの本にもガラス転移への言及があるし、ガラス状態の非平衡性が「きわめて異常」であることは認識されていた。

ただし、僕自身は、ガラス転移にピントはあってなくて、松尾さんがM2のときに、突然、「ガラス転移をやりたい」、、と言い出したときも、「僕は何も知らないので、僕にレクチャーしてくれ」と頼んでやってもらった連続講義が最初の勉強だった。(電子研で修士の学生だった小林みかさんに教えてもらったのが2回目の勉強。)だから、松尾さんの研究に僕は関わってなくて、学位論文の内容は面白くて意義深い*1と思っていたけれど、ぎりぎりの学問としての位置づけはできてなかった。林さんとの話で非平衡定常状態での有効温度を持ち出したとき、先行研究を調べると、ぼろぼろとガラス系の有効温度話がでてきた。このときに勉強したのが3回目。ただし、ピンポイント的で系統的な勉強はしなかった。岩田さんとガラス系の研究をはじめたときは、あさってから攻める方針にしたので、まずは勉強しないことにした。それはそれで思った以上に色々と進展してきたので、いよいよ、本格的にガラスに入ろうか、、という時期にはいっている。つまり、4回目の勉強。

今度は、今までと少し違う。そうだなぁ、5年をめどにガラスの専門家を目指そうか。ただし、ガラスの意味は少し広めにとっていて、化学反応ガラス、ジャミング(=粉ガラス)、構造ガラス、スピングラス、などなどを含む。専門家という以上、(今は全く知らない)細部の各論を抑えるのはそうなんだけれど、それ以上に「大目標」を掲げたい。自分も周りもなるほどね、、というような目標がないと燃えないじゃないか。*2燃えない研究はつまらない。もちろん、研究しているときはクールにならないと何もできないが、研究しないときは熱い想いが僕には必要だ。そうでないと単なる仕事になってしまう。

じゃぁ、広い意味のガラス研究の大目標とは何か。大目標は3年単位の申請書ではない。最近、それを言語化しようとしている。(そのうちに公開するかもしれない。)もともとレオロジーに対する興味があって、その理由は、「全く法則のないところに確固たる法則を打ち立てたい」という主観的なものだった。(稲垣さんのように対象に興味はない。)ま、生物もそうだけどね。生物そのものに対して興味はないけれど、「全く法則のないところに確固たる法則を打ち立てたい」という最終目標として生物はあるよなぁ。

*1:最近、再検討を始めている。非常にいい仕事だと思う。

*2:NESS 研究の場合は、広い意味の熱力学構造の探索が大目標である。Hatano-Sasa, Hayashi-Sasa, Harada-Sasa, Sasa-Tasaki, KNST.... など、苦し紛れではあるが、死なずにはきている。正直にいえば、本当に爆発するのかいな、と不安な時期は過ぎて、困難な度合いを冷静に見えている時期になっている。その上で前に向かう気力は失せていない。これは大事なことだ。