月曜日

全学ゼミ:何人かの学生たちがうまく問題設定をつないで、ここ最近は、次の問題をやっていた:1次元上に質量M の質点がある。右遠方と左遠方からそれぞれ質量m の質点が(一定の率で、ある速度分布に従って)やってきて、質量M の質点とぶつかる。一回ぶつかったら、質量mの質点は無限にいっておしまい。(質量m の質点同士には衝突はない。)\ep =m/M が小さい数とする。よーく考えれば、この世界には、ミクロな時間スケールとマクロな時間スケールがあることがわかる。そして、そのふたつが大きく離れるので、その両方と大きく離れた中間に時間間隔Δtをとることができる。この時間間隔でみた質量M の質点の記述はどうなるか。

専門的にいえば、ランジュバン方程式だが、大学1,2年生でも手探りできちんとつくることができる。そして、ランジュバン方程式のもつ性質や導出の物理的機構の本質的事項は、この例によって納得できる。(\Delta t/\tau_Macto -->0 の極限はまじめにはやっていない。物理の本にでてくるLangevin 方程式は、あくまで、便宜的記法だとす立場にたっている。ただし、Ito-Storatonovich 云々が関わっても完璧に対応できるようにはなっている。ええと、もうちょっと補足しないといけないが。。)

今日は、そのシリーズの最終回の予定で、質量M の質点の速度分布の時間発展を議論することになっていた。4人の学生が答えをもってきて、1人は(僕の想定した)完璧な模範解答で、残りの3人は答えが違う。どれどれ、、とそのうちの一人に説明をしてもらうと、非常に面白い。結果として間違えているけれど、「なるほどね!」、という考え方で、間違えたのも「自然な間違い」であった。慌てて解答を出すのでなく、来週までの宿題にした。

こういう展開は非常に楽しい。教科書なしでやっているので、何が飛び出すのかわからない。そもそも上の問題だって僕が事前に用意したものではない。分布の時間発展を出すのだって、僕の想定を超えた案がでてくる。しかも、その導出は僕的な好みでもあるので、本来、僕が過去に考えてもよかったはずなのに僕自身は今まで考えたことがなかった。大学1,2年生というフレッシュな学生がやっているからこそだろう。今年はスケジュールがきつくてあたふたしながらやっているけれど、「やってよかったかな、来年もやろうか...」と思った。

また、昨年の全学ゼミもそうだけど、やはりこういう話を本として残すのが正しいのだろうな。