火曜日

数理科学2008年7月号の記事の冒頭で、「大学に入学してすぐ、エントロピーを使って不可逆性を議論していた友人たち」のことを書いた。ちょっと先のことを知っているおませな学生は本当にたくさんいて、最初のころは、目を白黒していた。特に、2人の友人に対しては、最初の2年間は圧倒されっぱなしだった。中でもそのうちの一人の友人は、知識が豊富なだけでなく、軽やかで鋭い。その友人宅で徹夜で物理の話をして、あせりを感じて、帰宅後慌てて勉強したこともあった。(そのとき一緒にいたK君も、僕と全く同じように、帰宅後慌てて勉強したと後日喋っていた。)勉強していてわからなくなったら、彼を見つけては教えてもらっていた。こちらの質問を正しく理解してくれ、あれこれと話が展開した。意味不明なビラが無節操に貼られている掲示板の前で、物理のもっとも基礎的・初歩的なことを延々と喋っていた18歳ー19歳の風景はずっと記憶に残ると思う。