水曜日

学位審査会が今日から始まる。まず、今週3連発。その他事務的なバタバタなど。

往復の電車および空いている時間で、「固体は流れるか?」問題を考える。昨日は、モデルを簡約化しすぎて解を構成できなかったようだ。特解は多分ある。ただし、この特解は骨の役割を果たすが、系全体の振る舞いを議論するときにはダメ。(熱力学極限との関係。サイズが有限だと流れるのは自明になってしまうので、この話では常に熱力学極限をとらないといけない。)帰りの電車で、うーん、難しい、難しい、、とうなっていて、論点を整理した。

この系では、T=0 にすると、ずられた結晶への粘弾性緩和しかしない*1ところが、T をわずかでも考えると様相がかわる。(ほぼ間違いなく)"most probable process"が大自由度カオスだ。そうとしか考えられない。これは難しいはずだ。手がでない。僕がやろうとしていたのは、大自由度カオスの骨を抜きだす作業であって、それをつなぐのは数理では不可能だ。ため息をついて、論点を分ける。

その1)よし、見せよう。ミクロな模型だと今のところ簡単ではないが、今、目前にある連続場模型だと、数値的に有効なだけでなく、臨界核の大きさなどさまざまな値を評価できる。だから、連続場模型の数値実験でともかく「固体が流れる」ことを見せよう。

その2)"most probable process"が大自由度カオスどころか、そもそもカオスの例ですらないのではないか?この例示だけでも面白い気がする。T=0では単純な緩和なのに、わずかのノイズで"most probable process"がカオスになる例を見せよう。考える模型は、うん、ほぼ即答。これなら、カオスになるだろう。きっと、間欠性カオスになる。また、「固体が流れる」ときの"most probable process" の大自由度カオスは、時空間欠性カオスだろう。

面白いようにみえるけれど、そういう話はあるのだろうか?非線形業界から重心をはずして長いので、僕は知らない。知っている人がいたら教えてください。[すぐにピントがあってあれこれ文献を見つけています。現象としては80年代から既知といってよいようだ。ただし、通常のカオスではないので、解析がない。most probable path がカオスであることを見せればいいと思うのだけれど、それを議論した文献がまだみつからない。noise-intensityに対して真性特異点的なLyapunov 数がでてくる、と予想している。]

*1:勿論、平衡から遠い状態から緩和すると、秩序化過程がある。後期過程では欠陥の追放過程。