火曜日

辰巳さんが京都にくる。さっと濃密な議論だけして、次の場所に移動された。ガラスの問題は、決して到達しえない彼方の世界をこちら側からあれこれ眺めその姿をとらえようとするのが独特であり魅力でもある。それを前提にしたやりとりができるのはそんなに多くはいない。(たつみさんは、佐野研で学位をとられたので、基本的な考え方が近い。)ダイナミクスでなく、熱測定を介した構造推測がベースなので、僕が関わっている問題とも共通点も多い。今日の話を強引に理論側にもってくると、1) RFOT の範囲かもしれないが、「そのような視点」での整理はされていない実験的解析 2) RFOT ではない、ガラスのある種の普遍的クラスをつくるだろう現象群の紹介 3) ガラスとは直接的には関係しないかもしれないが、多体問題として興味深い現象の紹介 ということだろうか。どの問題も考えたら面白そうだ。

夜、ゆらぎの定理解説記事2日目:歴史的には、主に、90年代の話。記事とは直接の関係はないが、96年の秋のことを思い出すと、色々な感情が湧いてくる。日記書いていないから記憶もだんだん歪んでくるのだろうな。それでも「紙のウラに書いた式」の記憶は残っている。詳細つりあい条件の経路積分表現 - もちろん既知事項で多くの人が書いていたであろう。そのとき、確率過程で第2法則の証明を考えていたので、「操作の影響」として時間依存パラメータが入っていた。これはそんなに多くの人が書いてなかっただろう。ふーんん、式は変わらんのか...使えないか...、とつぶやいた。あと3ステップでJ 等式である。もちろん、クリスの論文がでた「あと」では、もう一度立ち向かって、同じ式を書くと、今度はゴールが分かっているのでその3ステップは見える。自己規定しても仕方ないが、自分の研究者としての能力の限界が96年秋のそのエピソードに象徴されている気がする。うーん、暗いな。いい加減それを払拭できないのか。。(ほっといても誰かが見つけるものを他人よりはやく見つけるというタイプの研究はそもそも志向していないので、このエピソードそのものはどうでもいい気もするのだが、何かずっとトラウマっぽくひっかかっている。)