土曜日

ハードな1週間を終えた。朝目がさめたとき嫌な頭痛がしたので、起きずにねた。起きたときには、収まっていたからいいか。

日曜日に、流体論文を再起動した。何というかレポートに対する反論を殴りがいただけで2時間くらいしかかかっていない。この2時間をここまでとらなかったのは、やはりまずかったかな。自分だけのことなので優先順位を下げていたが、2時間くらいはいくらでもとれたはず。うたたねした2時間、ぼーとしていた2時間などこの2ヶ月にいくらでもあった。とはいっても、人間なので、中々に難しい。一度2時間使って書いていると、うまく流れていく。平日は全く時間とれなかったが、今日は数時間かけてこれを丁寧に検討し、論点を整理した。まぁね、難しいのだと思う。とあることを主張するのに、よい文献はないか...と思っても見つからない。自分にとって事実として認められているものがまだ客観的に根付いていないことが多いなぁ。例えば、次の問題たち。

1)(十分にまざった)化学反応をマスター方程式で書く。サイズ展開でレート方程式を導いて、それがカオスになる場合がある。そのとき、展開の次の項は小さなずれをもたらす。さて、このちいさなずれが0次のカオスの性質を摂動的にしか変えないことを示せ。(もちろん、反例はあるので、系の設定は適切にしておく必要はある。)

これがなぜ問題かというと、カオスには軌道不安定性があるので、展開の次の項の小さなずれが軌道を大きく変えてしまう。そうすると展開そのものが破綻するのでは?と思ってしまうからで、確かに、そう思うのは自然だろう。僕も疑問に思って質問していた時期があった。[流体論文に対する査読者のポイントのひとつが本質的にこのようなこと。]だけどそれは間違いで、摂動展開そのものは破綻していない。こういう常識的なことをきちんと書いてある本はないか..というとない。じゃ、これをいつどのように理解したか、というとあんまり記憶にない。サイズ展開とカオスの関係は、蔵本さんと富田さんに質問した記憶はあるので、そういう会話を通じて理解してきたのだとは思うけど。。

2)低次元流体系に対してfluctuating hydrodynamics を考える。このときのゆらぐ方程式にあらわれる輸送係数は有限であると考えられる根拠をのべよ。また、低次元流体系で実際に観測される輸送係数が発散することとゆらぐ方程式にあらわれる輸送係数が有限であることの関係をのべよ。

これが問題になるのは、低次元流体で輸送係数が発散するので、その発散する係数をfluctuating hydrodynamics の係数と同じだと思うと、方程式がきちんと定義できていないと思うからである。[流体論文についての査読者のポイントのひとつが本質的にはこれと同じ。3次元流体なのでもうすこし微妙な話になっているが。]これも、混乱するところで、僕も昔混乱していた。ただ、これは問題1) と違って、明晰度は低く、特にミクロな力学レベルからは十分な説明や導出ができていない。しかし、現象論的には既知事項に相当すると考えている。少なくとも70年代には理解されていたと思われる。現象論を分かっていてミクロからの導出を見ているのと、現象論で混乱したままミクロから導出を見るので全く違う。そういう問題だと理解した。

1) も2) も教育的な論文を誰か書かない?特に、1) とかは4回生の卒研くらいでもやれるのでないかな。2)は本格的な研究になるので簡単ではないかな。2) に関する理解は最近少し進展した。