土曜日

確率過程において、時間スケールが分離して、遅い系の有効記述が定義される場合を考える。遅い変数だけが運ぶエントロピー生成では、全体のエントロピー生成をカバーできない。しかも、速い変数が遅い変数のそれぞれの値ごとに平衡化するような状況でも、露わになっていないエントロピー生成の寄与がある。こういう問題がここ2−3年研究されてきたが、僕は自分の頭でしっかりと考えてなかった。王君の例題で、それに関連してあれこれ考えることになったので、落ち着いて、自明なことから、整理してみた。技術的な混乱や、速い・遅いの考えかたの入れ方に混乱して、結構な時間を使った。しばらく戯れたので、だいぶ感覚になじんできた。その中で一番ましな筋をノートにして関係者に送る。

速い変数が隷属して局所平衡化していても、有効記述のエントロピー生成以外がある理由は、遅い変数と速い変数が「相関」しているからに他ならない。この相関は時間分離が十分にあっても存在する。実験では、遅い変数だけしかモニターできないことが多いわけだから、この相関を実験につかまえていくことは大事な気がする。まだ実験以前に理論的なことが色々と不十分な状態だが。