水曜日

非平衡有効相互作用論文の応答案のうち、訂正しないといけない部分ががどうもばしっと決まらず、集中力をかく。強引に締め切り時間をつくって、最善を選ぶことにする。格好よく収めようと思ってあがいたが、どうもうまくいかず、愚直にできていないところを素直にさらけだす路線になった。。あれ、できあがった方針は、結局、林さんの原案ではないか。時間をかけてそこに戻った。しかし、NESS 特有の問題の微妙な点をまたひとつ学習することになったのは、よかった。(それにしても、平衡系はつくづくうまくできている。平衡系の経験にもとづく直感でえいやぁ、、とやってしまうと、破綻してしまうことを幾度味わったことか。)

来年の集中講義は、レオロジー基礎論というタイトルで行うことにした。今までの集中講義とは違う内容になるだろう。泥やペーストやコロイドやガラスを好きか? といわれると、僕は好きでも嫌いでもない。(嗜好の対象にない。)レオロジーとよばれる学問の本を読んでもちってもわくわくしない。だけど、そういう世界から、物理としての法則を抽出し、それを体系化し、ランダウ教科書レベルまで成熟していく過程は、無茶楽しそうに思える。修士1年の夏に、レオロジーの本を何冊か読んで、「よし、この世界に物理をつくる」と意気込んだこともあったっけ。まるっきり空振りにおわったけど。助手時代にもう一度チャレンジしたけれど、これも失敗におわった。今度は、年の功もあるし、周りにも恵まれているので、何かゼロでない進歩をしたい。

僕にとっての生物は同じような位置づけだと思う。生物は好きでない。生物学の本を読んでも、僕には難しすぎて、わくわくしない。しかし、生物を物質の集まりだと意識した瞬間、これほど面白い物理現象はないことに気づく。生物の仕組みを生物として理解するのでなく、磁石と同じような物理現象として理解できるようになったら、そこに至る過程はむちゃくちゃ楽しそうだ。(磁石もどこからみるかによって全く自明ではないし、そういう自明でない箇所を理解し、そこにパスを通していくのは楽しいこと。)いわゆる生物物理の本や論文は、どうも僕の趣味ではない。どんなのが僕の趣味なのか自分でもわかっていない。いわゆるシステムバイオロジー的路線は違う。分子生化学的路線も違う。(金子さんや池上さんの研究の路線は僕の趣味ではない。)10年ほど前だったか、Nature を自宅で定期購読し、通勤時間には Cell を読んでいたときもあった。結局、何ひとつ身につかなかった。違和感を自覚しただけだった。しかし、最近、ふつふつと、自分が楽しめる路線などについて考えはじめてきた。僕の最終興味は、生物そのものではなく、自然法則だけど、どのあたりから考えていこうか、、と。こういうことを考え始めたのも、(僕より若い世代の)周りの影響だろうな。年の功もあるし、周りに恵まれているので、何かゼロでない進歩をしたい。。。あれ、同じセリフだ。泥も生物も同じか。。。(ケアンズ=スミスは院生のときに本屋でみつけて喜んだが、そういう文脈ではない。)