月曜日

朝、大学院講義。まだ「説明しないことの選択」に不慣れな点があって、途中でまずいなぁ、、と気づきながら講義をしてしまった。(立っている人もいたのに申しわけなかった。)次回は、もうちょっと構成を絞ります。

午後、田崎さんが部屋にこられて、格子系でのjamming transition の話。議論は3時間くらいだったけれど、得ること多数。

まず、初歩的なことの確認として、モデルのクラスと既知のことを説明して、簡単な例題として、ベーテ格子上でのjamming 転移の説明をする。(これは、朝の電車でペンをとって計算した。慣れているひとなら3分だろうけど、結構時間がかかった。)その説明は間違いではないのだけど、世代のダイナミクスをまず書くのが通常だと指摘されて、マップをかく。ほうほう、こういう感じか... て、チョイ待てよ。これ、サドルノード分岐ではないか!これをみると、jamming の様子もなんとなくわかる。実時間の力学系ではないが、偶然にしては驚きだ。そそられる。(平均場の罠だよ、、と田崎さんは警告してくれたが、罠と知っていて、自分たちが関わる入り口を探すことになるのだろう。)

その後のメインイベントで、Toninelli-Biroli-Fisher の有限次元格子でのjamming transition についての田崎さんによる解説。僕はモデルだけ理解していて、まだ転移のかけらも読んでなかった。あの、見る限り拒絶感のある論文の話しが、またたく間にカラフルな画像となって白板に書かれていく。いつもながら、全く鮮やかで、転移の存在とその不連続転移と臨界ゆらぎの共存の描像のかけらはわかった気になった。これで、論文も読めるだろう。

まずいことに、こういう刺激があると、頭がのっとられるのだよな。4月にはいって格子系のjamming の話を少しづつ読んでいたが、基本的には「全ての仕事が終わったあとの余暇」でやっていた。しかし、せっかく何かのイメージができそうな感じなので、もう一歩踏み込んで考えたくなる。それにブレーキをかけつつ、その一方で本能に従いつつ、流れにのっていこう。

念のために補足。格子系のjamming transition は、そもそも人工物である可能性は常にある。僕たちは、全てを妄信しているわけではなく、色々な可能性を色々な重きでおきながら、あの手この手で世界をみようとしている。みようとしないと人工物であることすらわからない。実際の実験で測定されつつあるjamming transition の真の姿は、実験だけみていてもわからない。どういう理想化を介して現象を見るか、というのが鍵であり、その鍵をみつけるのが僕たちのしたいことである。