土曜日

先週投稿したKNST論文について、interesting とか beautiful とか great とかの挨拶は届いているが、昨夜、具体的な質問もきた。(preprintをみた人への注:shannon-like expression の 導出についてです。)いずれにせよ、この質問の答えを知りたい人はたくさんいるように思うので、寝る前に速攻で(必要に応じて送れる)texノートをつくった。

ところで、質問はヨーロッパから届いたが、(今までの)Dear Shin-ichi でなく、Dear 佐々真 だった。うーむ?多分、メールの発信元に漢字がくっついていって、それを見れる設定になっていて、そこから対応部分を推測して、はりつけたのか??そういうお茶目な人とは思ってなかったので、何かの間違いか? Shin-ichi は 真一 だと教えた方がいいのか...?

さて、このSST だけれど、色々と見えないことが多い。たとえば、熱流を一定値に保ったまま系の大きさをどんどん長くしていく。運動エネルギーの空間分布をみると、両端ではずいぶんと差が開いてくる。preprint で書いているように、等熱流環境で系に操作をするときに定常状態熱力学はたしかにあるのだけど、「その熱力学」と実態との関係が直観的に乖離しはじめてくる。たとえば、系の真中あたりで操作をしたときの諸々をみる。そのときでもSST関数の温度は、あくまで左の熱浴(=drain熱浴)の温度でである。系が十分に大きいと、そんな遠くの温度なんか知りまへん... と思いたくなる。それに対して、このような場合でも通常仮定される「局所平衡熱力学」は何も問題ではなく、操作しているあたりで局所的に熱力学があると考えるので直観的にはわかりやすい。

僕たちの構成方法は論理的には間違っていないし、数値実験でもたしかにそういう熱力学があるのは確からしいのだけど、直観的にわかりにくい状況があるとき、それに対して説明できないのでは困る。

この例ひとつとってみてもわかるように、まだまだ理解していないことが多いのである。極めて未熟な段階である。しかし、これらは具体的なモデルや実験を通じて考えていくことができる。昨日に書いた「立ち上げ」に相当するが、僕自身、どこから考えていくのが真実への最短距離なのかよくわかっていない(その意味ではSSTそのものについては誰もが素人といってよい)。それでも、どこから解きほぐしていけばいいかについての整理くらいはできそうだ。遠くないうちに、このような問題集をつくって公開したい。もちろん、「真実」がない可能性は常にある、というより、単純な確率の大小では「ない」可能性の方が高い。それでも賭けるかどうかである。