木曜日

朝の電車。少し難しい仕事を東京あたりまでして、大体の方針をきめる。その後で、昨日に思った”温度場をハミルトニアンとT_1, T_2 だけからきめる”という馬鹿げた命題を検討する。ふーむ。。微妙な部分*1が効いてきて、一般には、そう甘いものではないか。(温度場が与えられたときのソーレ力がハミルトニアンだけから決まるのは正しそうだれど。)ため息をついた品川の直前、「あれ、待てよ...ソース/ドレイン系だと OK かもしれない...。」ここから渋谷までの道中で、世界がかわった。

突然ですが、SST 完全復活! フライングかもしれないけれど、気をしずめるために先に書いてしまえ。ソース/ドレイン系でギブス関係式が2次まで正しいことを、導出の方針を全く新しいものに変えて示した。

グレンの指摘以降、拡張クラウジウスが1.5次にさがってしまった結果、それを使ったギブス関係式の実験に関わる予言としては1次にとどまってしまい、その部分については線形応答理論からの「別の見方」しかできなかったところに忸怩たる思いはあった。しかし、拡張ギブス関係式の理解については、10月末の時点まで戻した。いや、それ以上だ。あのときに感覚的だったソースについての数学的条件が明示的になっている。しかも、それは、ソースのイメージどおりだ。

フライングかな。。ま、フライングだったら、2、3日でわかるでしょう。

夜、動的相関の臨界的振る舞いを計算している太田君の様子をみると、本題に入る前の予備的問題でつまっている。僕はすっかり詳細を忘れたけれど、昔、その予備問題をやったことがあるので「ノートを探してみる」、と部屋に向かうと、一発でみつかった。91年5月12〜14の計算だった。tex ノートをつくってなくて、ある程度まとまったら手書きノートをかいて、時代順に封筒につめていたので、一発でみつかった。tex になって以降は、どこにあるのかわからなくていつも苦労するしたり、発掘できなかったりするし、手書きノートも全く整理されていないので、どこにあるのかわからない。

さて、このノートには未発表の計算と考察が書かれているが、なかなか面白いことを考えて、ともかく最後まで計算している。太田君には、「この問題はすぐだよ」といってしまっていたが、ノートには、うーん、とか、やりなおし、、とか、また明日、、とか、のたうちながら、結局、3日かかっていた。でも、そこの思考過程をみると、大変自然な流れにそっていて、感心した。

なんで16年前の計算が「今」と関係するのか、、。順調にいったら、この話もライデンで喋ることになる。動的相関の問題に関して、誰もができない計算を紹介するのが、ライデンでの僕のtutorial talk の役目だろうし。

ライデン、、といえば、”フランスにおける粉体jamming のニュース"というsubject のメールが先週送られてきたのだった。うーん。。たしかになぁ、、先方は、超強力軍団だが、今のところ彼らのセンスで理論をつくることは苦しそうだ。ライデンまでにこれも何とかしたいんだが。。。

*1:専門家への注:熱浴に入るエネルギーと系の物理量との相関である。えいやぁ、、と、切れそうだが、非平衡系ではそういかないのは事実である。今はミクロからやっているので、そこを勝手に切断するのは許されない。”ソース”という特殊な熱浴は、系との相関をずたずたに切れる仮想的・理想的熱浴である。バルクの重要な性質を議論しているときには、熱浴の個性が効かないだろう、という期待のもとで理想的熱浴を仮定する... というのが、KNST 論文のひとつの大きな英断でもあった。