木曜日

今日の夜20時にて、今年度の修士論文、博士論文審査は全て終了。大変だったけれど、勉強になることも多かったし、楽しめることがたくさんあったのでよかった。

昼、あわずさんのセミナー:化学反応ネットにおける自己組織化臨界現象の数値実験。要約を読んで、「間違いなくjamming だから、でた方がいい」と研究室メンバーにも宣伝する。著者たち(あわず=かねこ)の意図はともかく、僕の結論では、99パーセントの確からしさで、化学反応ネットでのjamming 転移を示すもっとも簡単なモデルの提案になっている。明示的に僕の言葉に翻訳すると、そのモデルは”ランダムグラフ上の kinetic constraint many-body random walk”なのだから、モデルからしてもうそのもの。ただし、kinetic constraint の入り方は、ガラス・粉由来のFA 的なモデルではなくて、化学反応系ならではの拘束になっている。素晴らしい。

直接証拠が欲しいので、「動的事象のゆらぎを特徴づける基本量*1についてこのモデルでの解説」をぱぱぱっとメールを書いて送って... なんと今日は一日メールが送受信とも止まっている。直接証拠がでれば、ライデンでも宣伝しよう。動的相関の考え方がガラス系にとどまらないことを明らかにしていくのが僕の動機のひとつだから。

その理論は...。転移点をもとめるのは(きっと)難しくないが、(まだ測定されていない)基本量の発散の指数を求めるのは今の時点では無理。岩田さんとやっているランダムグラフの問題がプロトタイプになるはずなので、まずそれを解決して、その後でランダムグラフのFA モデルを攻略すれば、なんとかなるだろう。こういう問題を考えていく基本的武器をつくっている段階だから、ひとつづつ。しかし、急展開する目前の雰囲気だ。また、このカテゴリーに属する別のタイプの問題を探しつつ、同時に、新しい解析道具を開発しているのが太田君で、こちらも、いよいよ最初の山場が近づきつつある模様だ。修士論文が間にはいったので間延びしてしまったが、ここから一気にすすむだろう。

*1:カオスだったらLyapunov数をまず測る、、と熟成したら常識になっていることでも、萌芽期では認識されていない。