金曜日

珍しく日記があいた。病気ではなく、150%の集中で色々な仕事をやっていた。(普段は集中していない - というわけではないけれど。)7月に2週間出張した埋め合わせがあって、同時に研究もいくつか対応しないといけなかった。どうやら8月も遠慮なく会議が入るのは確実で、そのうちの一つは少し面倒な案件で、明日はその資料読みをしないといけない。

事務的案件をこなす速度は年齢とともに早くなっているし、研究関連も若いときよりずっと早い。昔が遅いだけ、ということかもしれないが、他人に喋るとき自分で驚く速さで計算していることが自分で分かるのは悪い気はしない。おそらく軽い躁状態モードに入っているのだと思う。そういうときは、浮かれて痛い目に会うのが常なので、そこは年齢を重ねた大人らしく、気をつけよう。

帰宅直前に、懸案の「非平衡熱力学変分原理」関連の諸々の文献を嫌々見て、電車の中で整理していた。オンサーガーが使った版(最小散逸の原理)をひっくり返した版の名前が知りたかったからだけれど、あぁ、近年では、それは「エントロピー生成最大原理」と呼ばれているらしい。何という誤解を招く表現だ。その使い方は... うー......危ない。この手の変分原理は、好きなように作れるので、作ることには何の意味もない。(オームの法則を導く変分原理は∞にあることを示せ、という練習問題をやればいい。)そういうゲームをやって、そこで不完全な(ときに間違った)論理を見るのは苦痛でしかない。

今回のNemoto-Sasa では、そのオンサーガー原理をひっくり返した変分原理から出発する。ただし、これは形式論ではなく、「ある公式」を導く。また、その公式は、現象論とは完全に独立して経路積分の評価経由でも示せる。そして、その公式の結果として、例えば、がたがたポテンシャルに外力かかった系のカレント揺らぎの25次キュムラントをほぼ1瞬で計算できる。(数値積分は必要だけれどプログラムの長さもほんの僅か。)25次キュムラントの数字自体に(おそらく)意味はないが、そういう量が1瞬で計算できることは驚異だと思う。