日曜日

昨日、東京にいった。2年前は2週間に1回くらい新幹線に乗り、15年以上日々の通勤には4時間弱かかっていたのだが、最近は、京都に籠っているせいか、電車がひどく疲れた。素敵な結構式とパーティーがあったのだが、多くの同業者がいて、ついつい物理の話をしてしまう。特に、こんがらがって酷い状況になっていた、量子熱接触について、田崎さん、清水さんと話をさせてもらい、いくつかの論点がはっきりした。かれこれ1ヶ月くらいやっているので、ほぼ全ての論点は考えてきたのが、そこには強弱があり、かすっても逃げていくのもある。田崎さん、清水さんは、勿論、量子系の非平衡系について真摯に考えておられるプロであり、完全に自分の世界を確保して話をされる。自分が研究していないときは、そういう世界の表面しか分からないものだが、自分が混乱しているときに話を伺うと、論点の強弱がはっきりと伝わる。そして、それが全体像とつながる。例えば、僕が先週やっていたいくつかの試行錯誤は完全にピントはずれであり、そういうピント外れ感がお二人と話をしてよく分かった。その場で完全に解決したわけではないが、道は見えた気がした。

とはいっても、実際にノートを書くと、結局は、同じところで変になり、線形応答理論で記述される緩和を示す例題は示せない。分からんなぁ...。しかし、もうちょっと丁寧にノートを書こうと、弱接触の摂動論も整理する。悲しいかな、この摂動論を正しく適用すると、緩和しないことは分かっていた。(摂動を組んで、その適用限界を遥かに超えたところにえいやぁとやればOK だが、それでは何をやっているのか分からない。)この摂動をちょっと変形して....弱接触のタイプを変えても、やっぱりダメだよなぁ、、...と思ったが、あれ、何だいけるか。。単純な思い込みミスが最後にあった。そして、同じ論法を使うと弱接触というぎりぎりのことでなくても、いけるのか。おそらく、これで、ちゃんと線形応答理論で緩和する例題群はある。

テクニカルには特異摂動を使ったり、綺麗に式変形をするための小技もいくつかあるが、まぁ、しかし分かってみれば簡単な話だった。具体例で物理的近似とかを入れてやいやぁとやるの文献はるが、それは僕には理解不能なので、ともかく自分の言葉できちんと理解したかった。2,3日で終わると思ったら、1ヶ月かかった。でもこの1ヶ月は決して無駄ではなかった。例えば、タイプ3の緩和、オンサーガー係数は0にも関わらず素早く緩和するクラスがあるとかは迷い道で遭遇したのだった。原さんと田崎さんの話を理解したい、というのも遠い目標にはおいていたが、まさか線形応答を見たいと試行錯誤しているときに、そっちが見えるとは思いもしなかった。あの話は抽象的にしか理解してなかったが、僕なりに絵的な気分が分かって楽しかった。そして、清水さんが常々強調されている極限順序の問題も、数学として精密化するときの話でなく、自分のリアリティーをもって受けとめることができた。迷ったからこそ理解が深まったと言える。

細部の計算でまだ終わっていないのもあるし、清書ノートをきちんと書こう。それに、緩和タイプの転移とかはよく分かっていない。そうだな、タイプ3とタイプ4を連続的につなぐ模型をつくるのが次の課題だな。

うんにゃ。清書ノート書くまではダメだな。なんかまだ辻褄があってないところがあるように見える。