土曜日

国際会議が仙台であった。イントロだけしっかり準備した。本文は詰め込み路線でいくと短時間の説明が難しいので、早々に講演を切り上げて、質問を待つ路線をした。質問がでなければ太田さんを指名するなどでつなぎ、出なかった質問は自分でする、という構成にした。何というか、半分は、手抜き工事だが、分野が広いのでめったくそつめても辛いだけだと。

準備したイントロはまぁ及第点だと思う。狙っていった(笑)もしっかりとれたし、PNASの実験も説明できたし。。ただ、Q and A は難しいなぁ。痛恨のエラーは、折角、学生さんが質問してくれたのに、その意図を理解しきれなかったことかな。あれは僕がその意図をきちんと組んで、しっかりと説明すべきだった。[講演後に来てくれて、分かった。]想定質問のひとつとして、その答えは何度も練習していたのに。。。あとは、太田さんが狙ったところから質問してくれたので、よかった。。

さて、会議中も、1週間前のノートの「現象論仮定」の部分を考えていた。それが正しいのかどうか。何らかの条件下で他の仮定から導けるのか。物理的描像はどうなっているのか。(このテーマの共同研究者の)中川さんも会議に参加していたので、絵と式をたくさんかいて、それらを具体的に検討した。その結果、かなり確信度が高まった。

前提にするのは、線形応答理論、および、熱力学変数のゆらぎの理論(ランダウ12章)である。色々な異常なことはあるのだが、とりあえず、線形ゆらぎ、ガウスゆらぎの範囲で考える。そして、気液共存特有の気液界面近くでの「界面の移動による潜熱」と他の物理量の相関を物理的に捉える。これらの結果で、先週の段階で「現象論的仮定」だったものは「導出」され、理論的にもすごくきれいになり、物理的描像も明晰になった。そして、いくつかの非自明なステップを組み合わせて、(前の論文で書いた)変分原理がミクロから「導出」される。仮定は、潜熱ゆらぎに関わる寄与の評価だけである。驚き以外の何ものでもない。仮に、どこかの仮定を間違っていたとしても、こんな理論を提出すること自体が個人的に未経験ゾーンにある。熱力学拡張関係では、Hatano-Sasa や KNST も非自明だけど、何というか、一発芸的であり、こういう膨大なステップの組み合わせはない。Sasa-Yokokura のネーターエントロピーも組み合わせは非自明だけど、それよりも(今の時点では)さらに壮大かもしれない。

12月中に細部をさらにつめて、1月から論文書きにして、3月までには公開かな。。((中川さんが変分原理の前から構築してきた)大域熱力学も論文として準備中で、その目次案も決めた。。)