土曜日

うーん。なかなかうまくいかない。学会誌の原稿5000字くらい書いたけれど、このままの構成はまずい気がしてきた。...個別の研究のことではなくて、この50年くらいの非平衡系の物理の展開を書こうとしている。60年代の川崎・森が素晴らしい....というのはいいし、その素晴らしさをご本人たち以上に僕は理解している*1気がする。70年代の意義は、蔵本さんの新書を見てもらえばいい。けれど、80年代は、浮かれただけで中身がないじゃんとか、90年代前半にはバブルはじけたね..とか...と書くわけにもいかないからなぁ。いや、本当のことだと思うし、日本だけではないのだけれど。

時代の流れを見るのは難しいな。あれは、89年あたりかな。水曜日の昼食会の後の雑談で蔵本さんに長時間くってかかったことがあった。「今の時代、問題の焦点が見にくいのでは?70年代前半とくらべてどうですか?」というのが僕の問。記憶違いでなければ、蔵本さんは「いつの時代もそうだった。」と答えていた。でも20年たって、やっぱり違っていた。80年代末は薄っぺらい研究が指数関数的に増えていき、焦点が定まらないまま、やがてバブルが崩壊した。その中にいた20代後半の僕自身も方向が全くみえずに右往左往していた。

2008年の今、未来の見え方は当時と全く違う。あの頃の真っ暗さに比べれば、今の明るさは何とも素晴らしい。できるかどうかはともかく「道」を感じるではないか。(ものにできないと意味はないのだが。)社会的には全く逆なのはそういうものなのかな...。

*1:お二人とも成し遂げたことの意義を外に向けて表現するときのポイントが違っているようにみえる。射影演算子法もモード結合理論も位置づけが難しいからなぁ。。趣旨を変更して60年代後半の研究の現代的解説をするのが面白い気がする。