水曜日

熱伝導媒質中の玉に働く力について、できる限り一般的な議論にしておく。おとといの夜(シメイブルーを飲みながら)の計算に間違いがあってあたふたしたが、無事に回復した。玉と媒質の境界部分だけのSST-関数だけで決まる、という大変綺麗な形になった。とくに、局所平衡分布に従うときの力がゼロになる箇所では、(KNST 論文の)SST 自由エネルギーのエントロピーの前の T が環境の温度であることが決定的に重要で、たとえば非平衡の自由エネルギーを単に局所自由エネルギーの積分だとすると、おつりがでてしまう。consistency check の段階だけど、ゼロ=ゼロが美しくでると大変気持ちがよい。

さて、玉がマイクロメーターサイズ以下になると、有限の力を受けるわけで、これを攻略しないといけない。色々な攻め方がありえる。ぼちぼち論文も見ているけれど、スカが多い。今のところ、運動論による計算はまともそうだが、それ以外は理論については全滅宣言してもいいように思う。(土曜日に書いた、Matsuo-Sasa でもでている、、というのは早とちり。きっとその手の早とちりは繰り返されてきたのだろう。)ただし、運動論はチェックできないので、妥当性は保留。

僕たちの立場では、SST関数を評価すればいいだけだが、局所平衡分布がだめで、統計力学がないのだから、動力学に戻らないといけない。完全にミクロにいってしまうと手も足もでない。運動論はspecific 過ぎる。マクロでは力はゼロであるが、ミクロに向かうとノンゼロになる。.... となると、fluctuating hydrodynamics だな。マイクロスケールだとそれが十分に有効であることは様々なサポートがある。だから、fluctuating hydrodynamics の範囲で、SST 関数を評価すれば十分だろうきっと。それで評価できないような関数なら、そもそも手がでないわけだし。

というわけでイメージをつくるが、まだまだピントがあわない。そもそも力が生じるってことは、平均したストレス場でみると、静水圧以外の寄与があるわけだよな。流れはないのだから、熱流によってずり応力が境界付近でできないといけない。symmetry argument (Curie's principle) から、温度の2階微分が応力を生んでいるのか...。ストレスと熱流の揺らぎからそれがでることを理解しないといけないのか..。揺らぎから力、揺らぎから力....境界に働く力...。

fluctuating hydrodynamics といえば、千葉学会で発表した内容を Dresden 会議にあわせて論文にしたのが掲載受理になった。そこでのlarge deviation の表現は、今となっては、未来での条件づけと過去での条件づけを半半にわける KN 表現で書くのがきれい(=等価であることは確認済み)だが、具体的に未来の条件つけでの寄与を普通のPDE で計算できることを示しているのが価値がある。このあたりは、もっと考えないといけない。 

ふむ、ストレス場を直接みるのは難しいが、力を与えるSST-formula の右辺を評価するのは難しくない。確実に計算できるように思える。よし、よい感じだ。次の1週間だ。(締切文書と会議だらけだが、気にしない。-- あせらず、できることをする -- ある種の呪文。)