火曜日

熱伝導媒質中に球をおく。その球に働く力は? 球がマクロで流体方程式が正しければ0である。他方、球が小さくて混相流とみなせるくらいなら、たしかに平均としてその球に力が働く。だから、8=4+4の理屈で、球をマイクロメータにして、働く力を求めよう、、と。その際、SST によると、熱伝導媒質に対して、適切にミクロから定義されるエネルギーとシャノンエントロピーさえ求まれば、働く力はわかる。(線形オーダーなので変態エントロピーはいらない。)

マイクロメートルスケールだと、シャノンエントロピーの主要項は局所平衡分布からくる。局所平衡分布は、温度分布さえ求まれば、それをギブスでつなげばいいので即答である。エネルギーも局所平衡分布からの寄与がドミナントであろう。というわけで、温度分布さえわかれば、物体に働く力のドミナントな寄与がわかるはず..というのが、1週間前に思ったことで、そのラフな評価はすぐにやった。

でもその評価はなんかおかしいので、ちゃんと計算してみようと、週末からちょこちょこやっていた。温度分布の計算はラプラス方程式をとけばよい。これは昨日(やっと)もとまった。で、その結果をつかって、局所平衡分布をつかってSST の公式にいれたが、非物理的な結果なので悩んでいた。どこがおかしいのか、あるいは、どこかで計算間違っているのか、本質的な勘違いをしているのか、、とか。

で、朝の電車でSST 自由エネルギーを微分するところで、一箇所おとしていたことに気がついた。お、答えが簡単になる。ぱぱぱ... ゼロ。素晴らしい、局所平衡分布のずれがないかぎり、ソーレ効果はない、、と。

非平衡統計力学の講義の1回目でいったように、線形輸送係数は局所平衡分布を仮定するとゼロになる。それゆえに、線形非平衡統計が必要になる。粘性係数の場合には明示的に確認するのはよい練習問題だし、歴史的には、kirkwood が粘性係数と熱伝導係数の議論をしていたはずだが、そういえば、全ての線形輸送係数に対する一般論的根拠をおさえてなかったな。(どうやって示そうか?)ソーレ係数も線形輸送係数だから、その一般則に従えば、局所平衡分布ならばゼロなのはきわめて合理的である。

さて、ここからが、問題である。0だと面白くないし、実際に有限の値をはじくのだから、これを捕まえないといけない。どうしよう....。