火曜日

朝、溜まっていた諸々や論文のDLで時間が過ぎる。あぁ、色々と論文があるなぁ。昨日の計算に勘違いもあるようなので、少し勉強しよう。

午後、非平衡変分原理:

根本君の演習も兼ねて、簡単な例題で、平均速度、拡散係数、高次統計を計算することからはじめて、Langevin 系で明示的に漸化式を得るまでが第一段階だった。それは形式的にはほぼ自明で、明示的に計算することは役にたつから論文にしてもいいかなぁ、、というのが4月の段階だった。

それを一挙に与えるかもしれない公式を模索する中で、とあるアイデアがでてきた。根本君がそれを具体的に計算すると、何とも綺麗な結果を得た。これが5月だっけ。ただし、それは算数としては正しいけれど、導出方法を説明する気がしない裏技的技巧を使っていて、あと一歩の踏み込みが欲しかった。同時に、その一般性の検討をしたり、古典的な変分原理との関係とかを探っていた。特に、後者については、僕も折に触れて考えていた。香港会議後の再起動でもやっていたが、どうも見えきらくて、現状の理解で論文にまとめる路線にハンドルを切るリミットだと考えていた。

そういう状況を受けての今日の話で、根本君が紹介した19世紀的問題設定の議論は、まさに僕が欲しかった命題だった。素晴らしい。同じようなことを考えていた僕は、「とある一点」が見えてなかった。そして、鍵が分かればそれを展開するのは容易だ。午後全部を使って、あれこれと論点を消化する。やっと、線形非平衡熱力学の変分原理と5月に見つけていた非平衡系のカレントのキュミュラント母関数の関係が見えた。前者は、線形非平衡問題の解を(わざわざ)変分問題で書くというキルヒホッフ以来の話で、オンサーガがミクロとマクロを繋ぐときに使ったので尽きていて、現代的価値はほぼないだろうという代物た。後者は、例えば、周期ポテンシャル+外力系の速度のm次相関という相当に細かい量の計算方法を与える、という計算マニアしか興味を持たないような話だ。その二つがつながったのは、驚き以外の何物でもない。勿論、後者の公式は、原理的には速度相関をまるごと実験で測定する方法だったので、何かあるとは思っていたわけだけど。

より大きな意味は分からないが、さらに考える価値は増してきた。色々な展開可能性も喋ったが、実に楽しい。簡単ではないけれどね。

また、その大事な鍵を僕が先に見えなかったのは悔しい。子供っぽいと言われようと、そういう悔しさがあるうちはまだ大丈夫だろう。