金曜日

ちょうど5年前の今頃(正確には12月中旬あたり)かな、熱伝導の数値実験に没頭していた。たまたま質量だけが違う粒子の混合系をやった。平衡では一様に混じっているのに、熱伝導下では、ふたつタイプの粒子が分離するのをみて、驚いた。。。

当時は、Sasa-Tasaki の意味でのSST の可能性を模索していたので、これは...と一瞬色めき立ったが、何のことはない19世紀から知られている現象だった。(そりゃ、そうだ。)ソーレ効果と呼ばれるこの現象は、そのとき以来、頭に視覚的にに残っている。

勿論、この現象は線形非平衡熱力学が適用される典型例である。そして、その係数をミクロから理解するのは、形式的には、平衡でのカレントの時間相関でかける。もちろん、この係数をカレント相関から計算する研究はあるかもしれないが、よく知らない。(あ、大槻さんがM1のとき、その検証をやってたっけ。。。)運動論による研究以外では、熱力学アプローチと呼ばれている研究があって、難しい諸々の効果を色々難しくやって議論するのがあるようだ。

この効果の端的な例として、例えば、マイクロ粒子を熱伝導溶液におく場合を考えよう。ソーレ係数の物質に対する閉じた公式は、”新生SST” から得られているのだな。5年前にSST の対象外として捨てたやつが、今まさに新生SST とともによみがえってきたわけ。この公式から、もうちっと面白い内実をひきだそうと、、うなっている。

しかし、ダイナミックだ。時間の経過がわからない。ちょうど1週間前の、11月23日 23:59。断熱定理のところが怪しいのでないか、、いや、ゆっくりやったら揺らがない、というやりとりのあと、僕が送ったメール:

"もちろん、個人史的には、僕は最初にこのモデルで拡張クラウジウスをだして、そのときに、準静的操作の具体化として、上のことを明示的にノートに書いています。ただ、その揺らぎの小さいものを「揺らぎがない」として、ぱぱぱっとやる箇所が、数学としては、僕には一番はっきりしているわけではない。"

だいぶ冷静に振り返れるようになった。このメールを書く直前の風景もたぶん一生覚えているだろう。こういう一生覚えているであろうイベントの連続というのは、何なんだろう。1週間前のこのイベントが昨年のことのように感じる。その一方、クリスティアンの「真実がちらっとみえる」を昨日のことのように感じるときもある。まだまだ続くのだろう。自分ができることをできる範囲であがくだけだ。